コンサルタントの日々学び

日々のデリバリーで得た体験、ノウハウ、教訓とかを週次ベースで書き留めていきます。

TL・PMとメンバーの成果の違いと考え方の転換

マネージャー職とメンバーの成果の見え方は大きく違う。
事業会社でもそうだろうが、コンサルティングというもともとふわふわしたものだとまたその違いに戸惑う。
自分もそれに戸惑い、はじめうまく動けなかったクチだ。

 

コンサルタントとしてのメンバー時代は自分が手を動かすことが多く、成果が目に見えてわかりやすかった。
検討用の資料であったり調査結果、意思決定した結果をまとめたものなどなど。
が、自分がTLやPMになると、その仕事はメンバーに譲らなくてはならない。
むしろそんな仕事をTLやPMがやって自ら成果物を作成するとチーム自体が回らなくなり即デスマーチだ。
特に開発フェーズに入るとその傾向は強くなる。

 

TL以上になってくると立ち位置ががらっと変わってくるように感じる。
よく管理者層はスポーツでいうプレイヤーから監督、演技で言う演者から演出家になる、と言われる。
表舞台にたつのはあくまでメンバー。
管理者層は自分はそれを引き立てたり、全体で整合性を保ったり、他チームとの調整を行ったりして、メンバー基点にゴールに押し進めていく裏方。
これをコンサルの現場に置き換えれば、成果物としてのモノを顧客とつくっていくのはメンバー。
TLやPMは全体の整合性をとったり、検討漏れや今後の推進・実行に向けた下地づくりをしていく。
そうなってくると自分がどれだけ成果をだしたのか、どんなバリューを発揮しているのか、というのが見えにくくもなる。

 

メンバー時代は成果が目に見えやすい。モノがそこにあるから。
わかりやすいモノをつくり、顧客に案をぶつけ、自分がつくったものを成果物を納品する。
成果が見えやすいので「できるようになった」という実感も得やすい。

 

TLやPMになってくると成果=PJデリバリーそのもの、になってくる。
そのたため結果は長期的、かつ見えづらいことも多いので、なかなか「自分がいたからこのチームはうまくいったのだろうか」がわかりづらい。
自分がチームデリバリーを「できるようになった」からうまくいったのか、結果論でしかないので成長の実感も得にくい。

 

当時TLやPM見習いになった頃は、この違いに戸惑い、
「自分は成果(バリュー)を出せているんだろうか…」
と不安になってしまっていた。
その不安に負けて自分で手を動かすことを始め、リード役も担わざるを得なくなり、個人もパンク、PJもうまくいかなくなる、という経験もした。
だけど、自分以外ができることをメンバーに任せると若干ヒマになる(というか目に見えることがないのでやった感がない)こともあり、そうなると初めの「自分は成果を…」という堂々めぐりに陥っていた。

 

「これが監督/演出家の役回りである」といえばそうなのだけれども、プレイヤーからその役回りに変わった直後にはその違いに戸惑う。
「自分は成果を出せてるのか…」と変に考え迷うとやってることに徒労感さえ感じてしまう。

 

では自分がそれをどう乗り越えたか。
まぁ手痛い失敗も経験したからでもあるが、考え方を転換したことが大きい。
「よりでかいことをやっていくことになればそんなもんである。」
「自分で、自分がいたことでうまくデリバリーできた、このチームはPJデリバリーに価値を出せたと都合いい介錯すべきであり、言ったもんがちだ。」
「自分の理想・基準を持ち、それに近づけたことにこっそりガッツポーズをするのである。」
「そしてヒマになればそれに越したことはない。他にいっぱいやりたいことはあるのだから。」

 

こう考え、むしろ事前にいろいろ検討プロセスやイメージ合わせ、リスク潰しこみを仕込んで、実デリバリーで自分が手を動かさずヒマになるようにあの手この手を講じるようになった。
そのおかげかうまくいくプロジェクトも増えて、自分もやりたいことをやれている。
これで自分なりには好循環を回せているので、これはこれで考えを転換して成功だったのだろう。