コンサルタントの日々学び

日々のデリバリーで得た体験、ノウハウ、教訓とかを週次ベースで書き留めていきます。

PMとTLの大きな違い、それを支える3つの心がけ

初めてPMになる人に相談を受けた。
「今までのチームリードからPMに変わる違いとは?」

これについて人それぞれ意見はあるだろうけど、個人的には以下の3つが違うと考えている。
1つは意思決定。
PMはプロジェクトに対して最終的な責任を持つ。
リソースやスコープについて、常に意思決定を求められる。
「このリソースでどこまで顧客にコミットできるか?」
「当初提案でコミットしたことをデリバリーしきれるか?」
「顧客からの要請は提案のコミットからスコープクリープしていないか?」
などなど判断を求められる場面が多い。
今までチームリードであればチーム内の意思決定はあったにせよ、その数は少ない。
そして範囲も小さく、PMという相談先もある。
PMは判断すべき数が多くなるし、範囲はプロジェクト全体、そしてデリバリー内容そのものに関わってくる。

もう1つが、品質の担保とゲートキープ。
デリバリーにおいてメンバーに積極的に動いてもらうのだが、どこまでの品質を許すか。
どこまでいったら顧客の信頼低下につながりかねないか。
今のリソースでできる品質と、デリバリー上必須な品質に差はないか。
これを管理し、危なければ顧客との折衝や対自社へのリソース調整に走ることになる。

そして最後が対顧客への一番のカウンター。
一番上にはクライアント・パートナーがいるが、現場で一番お客さんと接し、顧客との顔になるのはPMだ。
その言動や一挙手一投足が、即自社の評価につながる。
自社内や現体制の要請を顧客に伝える第一陣でもある。
顧客から言われるままを受けるわけにはいかないし、会社からの要請、例えばもっと少ないリソースでやれなど、に対しても即応じるわけにもいかない。
一番お客さんのことを考え、プロジェクトのことを考え、自分たちのプロジェクトメンバーのことを考えて動く必要がある。
顧客と自社との板挟みにもなるが、プロジェクトの最善策を自分で考え、提示していくことになる。
チームリードなら好き勝手に言えた部分も、PMはプロジェクトの顔、会社の顔になるため「好き勝手」とはいかない。

 

これらをいきなりすべてやろうとするとまずPMの時間が足らなくなる。
そしてゆくゆく時間不足から、判断の多さにその場対応をして、結果的にプロジェクトが迷走しがちだ。
その事態を避けるためにも、まず自分で手を動かさないことを徹底することが必要だ。
PMの仕事は判断・意思決定、品質ゲートキープ、顧客カウンターと割り切り、デリバリーの主体はメンバーに任せる。
PMがデリバリーに手を動かさないといけなくなったらYellowな状態と言える。

それから、ゴテゴテの意思決定にならないよう、先を見越せるようにゴールへの必須要素を明らかにしておく。
時間をつくり、自分は先を見据えた論点なり問題になりそうな部分を見極め対策を考えておく。
当然、デリバリーの品質として譲れない部分もだ。
そうすることで品質チェックにもなるし、メンバーに「こう進めよう」を示すことができ任せやすくなる。

メンバーに任せるためにも、自分でできることを再生産できるようにすることも必須だ。
これまではデリバリーしてきた身として、「自分がやればできる」を「他の人でもできる」にする。
それはやり方の言語化であり、指導・フォローであり、フィードバックであり、やり方はいろいろある。
相手に任せられるように指導しつつ、最後はPMとして自分でケツを拭けるようにする。
これが一番むずかしい。
言い過ぎれば作業者として指示したことになり、本人のモチベーションに影響するし、フォローが不足すると品質担保できなかったりする。
ただ、そこを避けていては結局自分がデリバリーしなくてはならなくなり、時間不足に陥ってしまう。

最後の点はPMとして求められることとしてあまり言及されることは少ない。
だが、PMが先のこと・重要なことに時間を割き、デリバリーはメンバーに任せるためには一番重要なことだ。