コンサルタントの日々学び

日々のデリバリーで得た体験、ノウハウ、教訓とかを週次ベースで書き留めていきます。

仮説の価値と使い方、レビュー会にならないために

コンサルタントは仮説が重要だ」とはよく聞く話。
顧客はなんらかの問題を抱えており、その解決を望んでいる。
その解決に導くのに、現状調査してFactや悪さ具合を調べ、解決策を具体化するのに、仮説があることでずっとスムーズに進めることができる。
 
例えばセッションで議論するには「千本ノック」のボールのような扱いに仮説を用いる。
「こんなことはないか」「あんなことはないか」と仮説をいろいろとぶつけ、意見を引き出し、思考の扉をノックしていく。

それから、議論のために仮説から一旦レベルを挙げて(チャンクアップ)、更に他の意見を引き出すことにも使う。
新規サービスを考える場で「場を法人に提供するサービス」という仮説を考えたなら、そこらか抽象レベルを1つ上げる。
「場だけでなく人・モノ・カネを提供するという軸から他にサービスは考えられないか」など別の質問に昇華して意見を引き出していく。

その仮説に至った思考をトレースしてもらうことも価値がある。
「このサービスがいいと思ったのは、環境、自社の状況、ニーズとシーズの適合から」、仮説を考えたのであれば、同じ流れを議論で行う。
この場合、自分が考えた仮説は隠して構わない。
同じ思考をトレースし、同じ結論に至ればラッキーだが、他の結論になってもその方が最適なら全くもんだない。
 
このように仮説はコンサルティングにおけるいわば羅針盤にあたる。
ただ顧客の特性や持っていき方によってはプロジェクトを悪い方向に持っていってしまうこともある。

仮説を「答え」として顧客側が理解し、それを暗黙的に受け入れ、答えの正否にのみ議論が及んでしまうケースだ。
打ち合わせ自体もコンサルタントが持ってきた「答え」に対するレビュー会のようになってしまう。
 
仮説はあくまで仮説・羅針盤であり、正解ではない。
現状調査や議論の過程で方向を変更しうることは十二分にある。
だが、そう受け取らずに「一旦の答え」として受け取ってしまうのだ。
 
コンサルタントはこういう自体にならないように、仮説を活かせるようなファシリテートが求められる。
「あくまで仮説である」「案である」ことを念入りに説明する。
「例えばで書いてみました」と注釈を入れる。
あるいはあえて仮説は書かずに議論したいこと、思考プロセスのみ書いて、口頭でだけ「こんなことないですか」と発するやり方もある。
 
仮説は考えつくだけで終わりではない。
それで顧客が思考を促され、最適な解に至るまでがゴールだ。
仮説をレビュー用でなく、あくまで思考を促す叩き台として議論に用いるように促すこともコンサルタントの力量だ。