プラス評価とマイナス評価、仕組みとカルチャー
評価はそこに所属する人の行動や考えを大きく矯正する。
その評価のやり方にはプラス評価とマイナス評価、そして仕組みによる統制とカルチャーによる統制という大別ができる。
プラスの評価とは「なにかをやったことが褒められ高く評価される」ことで、マイナス評価は「なにかをやったことが責められ罰せられる」こと。
仕組みによる統制は「これをやることが評価につながる」ことが明確でロジカルに評価される、カルチャーによる統制は「会社利益に貢献したか」「人の採用や成長に貢献したか」など評価項目なり基準が曖昧で評価者の采配により評価される。
ここでは自身の経験から極端に振られた場合の特徴をまとめておきたい。
まずマイナス評価とプラス評価。
マイナス評価はやるべきことをやる統制は効くため、法対応やコンプライアンスなど必須なものは適している。
ただ、あまりにマイナス評価が比重が高いと、それを守ることに主眼が置かれ、ひいてはそれ以上は何もしなくなる。また、圧迫感・閉塞感・やらされ感がでてくる。
例えば、採用・育成活動も年1回実施が必須、しなければ賞与減額、となれば、「クソ忙しいのに」と思いつつ1回は実施する。
ただそれ以上やることはないし、「会社に言われたからやった」という感覚が強く、自身からなにか考えて動く気は失せる。
一方、プラス評価は 逆にいろんなことをやるモチベーションは高まるが、やるべきことやらないフリーライダーのリスクや誰も実施しないリスクもはらむ。
会社を良くする活動、例えばトレーニングであったりをやってくれればプラス評価する、となれば創意工夫をこらしてやる人もでてくる。
ただ、それが新入社員研修のような必須なものだった場合、当然やらない人もいるためやる人が固定化し、「絶対必要な研修なのになぜ誰もやらないんだ」という不信感も生まれてくる。
次に仕組みによる統制とカルチャーによる統制。
仕組みによる統制は、例えば売上はX千万、利益率はX%、メンバー稼働率はX%、メンバーからの評価にBadがない、それに必須研修X個のうちY個受講、などロジカル・細かに評価基準が定まっている。
目標が明らかで定まっているため、やるべきことをやるようになり行動はスムーズになる。
ただ、マイナス評価と同じくそれ以上はやらないリスクがあるのと、仕組み設計自体が間違っていると社員の疲弊のもとになる。
上記の例だと売上は1億を求められていた場合、コンサルなら人がいないと顧客との契約ができないため売上は成立しない。だが人は売り切れ状態な場合、本人がどんなに努力しようともその売上目標は達成できないことになる。
必須研修についても、顧客と毎週金曜の報告会があるのに、必須研修は金曜にしか開催されない、だと達成が難しくなる。
本人のコントロールできない要素で評価が決まることになると、その人は疲弊するまで努力するか、評価されることを諦めるかするしかない。
カルチャーによる統制は、「会社利益に貢献したか」「人の採用や成長に貢献したか」「デリバリー上の品質・生産性はどうだったか」という基準による。
プラス評価と組み合わされると、いろいろなことをやろうとする人が増える。
採用で工夫を考えたり、自分なりに会社成長のためにセミナーや書籍出版を考えたりなど。
ただ、そうやって自分で何かを見つけて考えることができない場合には行く先が見えないため苦しむことにもなる。
そして、あくまで基準が曖昧なため、同じような考え方でないと、評価全体としてまとまらない危険性もある。
例えばある人は自社のノウハウを外販することはより自社を知ってもらえかつ他の企業の成長にもつながりよいことだと考えるが、別の人は自社のノウハウを外に出しては今後の売上がおぼつかないと反対する。
この場合に考えの根底として「自社よりも顧客の成長」「自社の売上重視」などの考え方が擦り合っていないと混沌を招き、最終的に分裂という危険もはらむ。
当然、コンプライアンスなど特定のものはマイナス評価だし、育成はプラス評価など各々の要素が混ざっていたり、どこかのレベルから評価の軸が変わったりということもある。
ただ、そのメリットとリスクを把握せずに、すべてに同じ評価を強いたりすると社員の行動を矯正し、自社の成長を抑制しかねないことは覚えておかなければならない。