コンサルタントの日々学び

日々のデリバリーで得た体験、ノウハウ、教訓とかを週次ベースで書き留めていきます。

プロジェクトにおけるwhyの重要性とゴールデン・サークル.txt

今のプロジェクトや企画しているシステム構想について、Whyは明確だろうか?
 「このプロジェクトをなぜやるのか」
 「これをやって企業なり、事業にどんな影響が与えられるのか」
これがないと、スコープも広がり、手段が目的化し、結局成果がでない徒労に終わってしまう。
 
例えばある企業のプロジェクトにおける、原価管理システムの導入プロジェクト。
ここではプロジェクトの目的は「システムを入れ原価管理できるようにする」ということだった。
それも明文化されているわけではなく、ヒアリングで聞いてみるとそういうことらしい。
こんな状況のプロジェクトは多数あるのではないだろうか?
 
これの何が悪いかというと、
 ・目的が不明確なのでスコープも曖昧
 ・目的から要求なりの必須度合いが測れない
ことにつきる。
実際、このプロジェクトでは、原価管理システムに絡んで帳票表示や業務見直しなど効率化系の要求も多く混ざっていたし、原価管理に絡む要求も多くて想定予算を大幅に超えたが何が必須で何が後回しでいいか判別がつかなかった。
またパッケージ選定の際にも、必須かそうでないかもかわらないため、要求とのFit&Gapで適合率が高いと思ったパッケージが、実は原価管理根幹については適合率が低く使い物にならなかった。
結果、一部システム領域は使い物にならず、数億の除却というゴミ箱行きとなってしまった。
これくらいWhyの影響度は大きいのだ。
 
以前、TEDでゴールデンサークルという考え方を耳にした。
ゴールデンサークルとは
・人の行動を促すには「何を」「どうやって」では動かず、「なぜ」を示して共感した時に人は行動に移す。
・「なぜそうするのか、なんのためか」「どうやるのか」「なにについて」という順序で考え、行動し、伝えることが有効という考え方。
・昔のAppleの例がよく当てはまる。
 WhatベースでAppleの製品を訴求すると
 「我々のコンピュータは素晴らしく、
  美しくデザインで簡単に使え親しみやすい商品です」
 という説明になる。
 Whyベースだと
 「私たちは世界を変えられると信じています。
  そして常に既存の考え方とは違う考え方をします。
  世界を変えるために、美しいデザインかつ機能性に優れた製品を
  世に送り出そうと努力するうちにこのような製品ができあがりました。」
  となり、価値観に共感し購買する意欲を高められる。
・スポーツ活動の応援でも、どう応援すればいいかとHowに執着すると「もっと大きなや声で」となるがそれだと選手の妨げになりかねない。
 「そもそもそれが得点につながるか」という根本を忘れるとやることが無駄になる。
 
プロジェクトでも、Appleのようにうまく信者を作り出すというとこまでいかなくとも、Howに固執するとなんのためにやるかわからずに本末転倒になりうる。
「何のためにやるのか」「それが何につながるのか」「それをやってどんな姿になりたいのか」、Whyが理解され、関係者の中で合うと同じ的を見据えて自走できるようになる。
 
「プロジェクトが立ち上がっているなら、なぜやるかは明確なんだろう」と思うのでなく、コンサルトして「そもそもを問う姿勢」でWhyを明らかにしていこう。