コンサルタントの日々学び

日々のデリバリーで得た体験、ノウハウ、教訓とかを週次ベースで書き留めていきます。

ジュニアコンサルからの壁と7つのプロジェクトの役割

コンサルタントとして入社して、ジュニアを脱皮すると1つの成長の壁にあたる。

 

それまではPMやTLに言われたことをなんとかこなし、
資料を作ったり、プレゼンしたりして価値を発揮していたのが
いよいよ1コンサルタントとして見られるようになった段階で
「君は何ができるの?」
「どんなことで価値を出してくれるの?」
という目で、社内・顧客内で見られるようになってくるからだ。

 

それまではコンサルタントとして基礎的ないろいろなことをやっていればよかった。
だが、そのままだとまんべんなくできても尖りがない。

 

採用活動のときにも「自分の強みは何?」を問うていたとは思うが、
一緒にプロジェクトを進める他のコンサルタントやお客さんも優秀だ。
その方たちと比較して、真に「自分の強みは何?」を問うことになる。
頭1つ抜けて、それで名前を覚えられるくらいの強みが求められてくるのだ。

 

当時の自分は、この問いになかなか自分だけで考えるのに苦心した。
「自分は論理的思考が強いはずだ」
「でももっと論理的な人は社内メンバーにもお客さんにもいるのにこれが強みと言えるのか?」
「ドキュメント作成はまぁまぁ得意だが、それで顧客に見える価値になるのか?」
と悶々と考え、なかなかピンとくるこたえがみえてこない。

 

今、自分なりにそのときの自分にヒントを与えるとしたら、
コンピテンシー的なスキル要素で考えるのでなく、
プロジェクトに必要な要素・役割を分解して、個人のタグ付けを目指せ、と言うだろう。

 

プロジェクトはゴールに向けていろいろな活動・タスクを推進していくことになる。
考えることも複雑だし、いろんな方を巻き込みつつ、ゴールに向けて進まなければならない。
そのときにいてくれたら嬉しい・役に立つ鉄板の役割というのがある。
具体的には
①過去検討した内容やヒアリングしたことを聞けばさっと応えてくれるDB役
②いろんな人とうまく根を張り、フットワーク軽く、足で稼ぐ情報屋さん
③「あるべき姿はこうだ」や「そもそも…」を語り目的を見続けるWhyの人
④いろんな反発や反対意見があった際に、
 関係つくり、あれやこれやと巻き込み懐柔させる共感の達人
⑤決まったToDoやタスクをテキパキ整理し、依頼・進捗管理する整理屋さん
⑥逆に、TOPと握ってとにかく前に進めたり、
 「絶対にやりきる」と検討をぐいぐい率いるブルドーザー
⑦決まったことをちゃんと形に残し、正確に精緻にアウトプットをつくっていく職人
みたいな人だ。
プロジェクトでは軽重の差はあれ上のような役割はだいたいで求められる。

こういった「プロジェクトに必要な役割」のどこかで秀でれば強い。
「過去の内容を聞くなら○○さん」
「不満や反対があったら△△さんにとりあえずかけこもう」
のように役割が名前で覚えられるようになれば完璧だ。
プロジェクト内でグッと頼られるようになるし、
「この人がいないとプロジェクト回らないな」と思われるようになる。

 

これはプロジェクトデリバリー時以外でも極めて重要だ。
次のプロジェクトアサインを考えてもらう際にも
「こういうタイプだからこのプロジェクトに適任かも」
とフックをきかせやすい。

 

自分は極度の面倒くさがりなので、「そもそもこれ必要か?」と考えることが多い。
そのため、③のWhyの人や⑤の整理屋さんになることを心がけてきた。
その役割をこなすために
「Whyで考えていけば、このタスクはここで必要だが、これはサボれるはず」
「このタスクをこの時期に進めないとあとでネックになる」
と論理的に考え伝えるようにした。
スキルから考えても出なかった自分なりの強みを、
プロジェクトで必要な役割から考えて自分のスキルで補強するように心がけた。

 

とはいえ
「自分はそんなに秀でてない」
と思い、考え詰まることがあるかもしれない。
ただ、これはあくまでプロジェクト内で一番秀でていればいいだけだ。

自分も③のWhyの人や⑤の整理屋さんに秀でた人が
プロジェクト内に他にいたプロジェクトもあった。
そのときは①DB役がいなかったため、そこに注力するようにした。
ちなみに自分は記憶力はめっぽう弱いほうだ。
お客さん含め名前が覚えられないし、昨日検討したことを覚えてないこともある。
だが検討資料があるなら、それをすぐに引き出せるように仕掛けを設ければいい。
必要な情報を1つに集めて分類化しておいたり、
重要事項・発言や論点はメモに書き溜めて更新する。
記憶力でなく、引き出せるように仕掛けでなんとかDB役をつとめる。
ちょうどそのプロジェクト内にはDB役を担う人がいなかったため、
記憶力がなくとも仕掛けでなんとかバリューを発揮することができた。

 

あくまで「プロジェクトに必要な役割」から考えるのは1つのやり方だ。
すでに自分なりの価値の出し方が見えていれば当然それに注力すればいい。

ただ、最後に1点言い加えるとすると
「これを聞くならXXさん」
とタグ付けされて名前を覚えてもらうことは存外気持ちのいいものだ。
承認欲求を満たされる。
もし、成長の壁にぶち当たったり、自分の価値に迷った際には
「プロジェクトに必要な役割」から考えることも試してみてほしい。