コンサルタントの日々学び

日々のデリバリーで得た体験、ノウハウ、教訓とかを週次ベースで書き留めていきます。

ファシリテーターとして棒立ち回避のための5つのパターン

私がジュニアコンサルタント時代のとき、初の構想策定の参加時。
ファシリテーターとして前に立っているはずが、ただただて棒立ちとなっていた。
みんな議論しているのに、前に立っているのに固まっている。
どこで口を挟むべきか、口を挟んだら議論の熱に水を刺さないか。
そんなことばかり考え動けなくなっていた。
発言することといえば「どうですか」「いかがでしょうか」の連呼。

 

他の方も、ファシリテーターとしてうまく立ち回ろうとしてなかなか動けない。
そんなことはないだろうか?
前に立つものの、議論が白熱してくるとなかなかうまく議論を整理できない。
1参加者として参加してしまい、なかなか議論がまとまらない、結論にたどり着かない。
挙句の果ては「いいですか?」「次行きましょうか」と司会進行に終止してしまう。

 

これは前回に語った目的思考に加え、「ファシの型」がないのだと、その頃のPMに教わった。
ファシの型とは、ファシリテーターがすべき5つの役割、そのときの定型文のことだ。

①要約する:「おっしゃっていることはこういう理解でいいですか?」
②検証する:「これで目的は達成できそうですか?」
③整理する:「XXさんとXXさんは違うことおっしゃっていますか?」
④統合する:「XXさんとXXさんは○○と同じことおっしゃってますか?」
⑤構造化する:「おっしゃっていることはXXとXXですね」「XXが優先でいいですか?」

単純にまずはこれが言えるようにする。
「何を言っていいのか」がわからなくなるなら、この定型文をいつ挟むかに集中する。

 

意外に議論が白熱している場合でも、よくよく聞くとまともな議論ができていないことが多い。
「改革を進めるために巻き込むべきか?誰とコミュニケーション取るべきか?」
を議論しているようなときにも、
Aさん「労組のXXさんに話し通さないと」
Bさん「人事との調整が必要なんじゃないの?」
Cさん「MBOに含むように依頼しないと進まないよ」
のような意見がでてくる。

 

そこで例えば
③整理する:「AさんとBさんは違うことおっしゃっていますか?」
と挟むと
「いや、人事に依頼したとしても結局は労組がYesと言わないと進まないから、労組を巻き込む、という意味では同じでしょう」
とか

④統合する:「BさんとCさんは○○と同じことおっしゃってますか?」
と挟むと
「うーん、MBOに入れるよう人事に言っても結局は組織長がMBOを見るから意味ないかも。MBOは組織長に訴えないといけないかな」
と徐々に当初の目的に向け議論が収束していく。

その上で
②検証する:「労組・組織長を巻き込むことで目的は達成できそうですか?」
と挟むと
「それ以外だと、各事業所のキーマンには先に情報伝えないと反対されるかも」
「現場にもパラパラ情報が展開されると不安を呼ぶから一斉の情報発信必要かも」
とまた議論が活発化する。

そこでまた
⑤構造化する:「ではこのなかで真っ先にすべきは労組との調整でいいですか?」
と挟むことで議論が収束してく。

 

「ほんとにそんな5パターンでうまくいくの?」という方もいるかもしれない。
確かに会議の目的は多様だ。
「何かを決める意思決定の場」もあれば、「知っておいてもらう情報共有の場」、「考えについてフィードバックもらう場」など様々だ。
ただ、これらも目的が定まっていれば、5つのパターンでどこに注力すべきかという違いで対処できる。
意思決定の場なら、何か決めてもらうことに対して意見をもらうので「①要約する」や「⑤構造化する」ことが重要になるだろう。
「この投資に対してYesかNoか」→「条件付きYesという理解でよいか?」「先にこれを果たしてから承認にこい、ということでよいか?」
情報共有の場なら、理解の確認が中心になるため、「③整理する」「④統合する」が重要になる。
「我々からこう説明したと思うがXXさんは認識が違うとおっしゃっている?」「我々が言っていることとXXさんは同じことおっしゃっている?」

 

特に日本人だから、かもしれないが、結局YesなのかNoなのか、意見として賛同なのか反対なのか、明確でないことは多々ある。
それをクリアにするだけでもファシリテーターとして価値はある。

当然、ファシリテーターとしての役割はそれがすべてだ、というつもりはない。
もっと意思決定を促す図示なり、選択肢の提示など、いろいろなことが求められる。
ただ、そんないろんなことを考えて棒立ちとなるなら、まずはこの5パターンに全神経を集中してはどうだろうか。