コンサルタントの日々学び

日々のデリバリーで得た体験、ノウハウ、教訓とかを週次ベースで書き留めていきます。

コンサルタントの3つの価値とオピニオン

コンサルタントとしてお客さんに提供できる価値は大きく3つある。
①「高級派遣」として言われたものに対し質の高いモノをスピーディーにつくっていくこと
②「問題解決人」として、何が問題かを整理して、何をすべきか提案すること
③「パートナー」として、第3者的にお客さんにとって正しいこと、かつ耳の痛いことを言い続けること
当然ながらて、③に近づいていくほど難しい。
特に②から③へ至るには「オピニオン」が必要になってくる。

 

オピニオンとは
「自分はこの会社のベストの選択は何と考えるか?」
「お客さんが言ってることは別として、どうするのがいいと思うか?」
「それはどんな選択肢から、どんな基準をもってそう思うのか?」
言語化することだ。
これをぶつけることで、より議論が深まり、また我々のお客さんがよりよい道を踏めるようにもなる。

コンサルタントの中には
「お客さんが考えていることがあればそれを相手から引き出せばいい」
「それを形にするのが我々の価値だ」
と考えている人がいる。
確かにそれも1つの価値であるし、それが最も求められる場面もある。

だが、オピニオンをもって顧客にぶつけられないと、一生「高級派遣」である。作業者のまま。
その先を行き、よりそプロジェクトのため・顧客のためを考え、ディスカッションパートナーでなければ顧客と対等の関係になれないし、継続的な関係をつくれない。
「派遣」なためリソースとして不要になると切られることになる。

 

私も顧客との関係においては苦い経験と誇りに思う経験がある。

苦い経験としては、業務効率化の構想策定からシステム構築までをコンサルタントとして担った時の経験だ。
そのときはお客さんが「ここを効率化したい」というのに対して、いろいろなツールを見つけてきたり、それを上申するための資料作成に専念していた。
またシステム構築の段では、英語のマニュアルしかないパッケージであったため、その翻訳と導入のお手伝いをしていた。
どの段階でも「お客さんのこうしたい」に対して、実現をしていた形だ。
ただ、残念なことにぼっきり関係が途絶えることになった。
それはツールの導入もし、マニュアルも翻訳・整備され、あとは社内でできるためリソースとして不要となったためだ。

逆に誇りと思う経験としては、CIOとITの戦略を練ったときの経験だ。
「なかなか経営層に将来投資やITの価値を理解してもらえない」
というCIOの悩みに対して、当然経営層に向けた資料作成も支援した。
ただ、それ以上に
「会社にとっての病巣は事業部の言いなりにシステムを作っていることでは」
「AIなど先行的な取り組みをやってもアピールできてないなら意味がない」
「ITも投資バランスを考えるべき」
など、CIOにとっては耳の痛いことを、指摘だけでなく、どう解消していくかまで議論を尽くした。
そのかいあってか、IT戦略立案後も、「ディスカッションパートナー」という形でときどき相談の場を持たせていただいているし、「また一緒にプロジェクトをやる機会を」と懇意にしてもらっている。

 

IT・システム構築においても同じだ。
「お客さんがこう言っているから、実現の手段を考えよう。」
「出来る限り要望を飲んでやろう」
が本当に正しいとは限らない。
「でもこれって保守・運用考えたら、複雑すぎて長期的に自分の首絞めることになる」
「今回のプロジェクト目的はスピードとコスト低減だったのに、こんなに要望を組んでいたら目的に反している」
とその会社の先を見て、オピニオンをぶつける。
これが顧客の価値につながるし、信頼を得て継続的な関係につながる。
何よりコンサルタント冥利につきる。

 

このオピニオンまで考えきれるかどうかは、根幹には「自分思考」なのか「他社思考」なのかがある。
「自分の成功・名誉のためにプロジェクトを考える。その一要素として顧客に寄り添う」
のか
「顧客の成功・名誉のためにプロジェクトを考える。自分は二の次、泥を飲む覚悟で顧客に寄り添う」
なのか。

ただ、いきなりオピニオンなんて考えられない、となるだろう。
その場合でも、議論を深めるために事例、ファクト、フレームワークを提示し、顧客のもやもやを解消することなら手をつけられるはずだ。
②の「問題解決人」として、何が問題かを整理して、何をすべきか提案することをまず目指すのだ。
「こうやって考えると整理しやすいのではないか」
「過去こういう失敗があるから、それは避けた方がいい」
「実際に試してみてこれしか効果でてないからコレ以上やるのはムダ」
など、価値高い動きはできるはずだ。

 

顧客にオピニオンをぶつけ、ディスカッションパートナーとなるのは難しい。
だが、そこを目指してこそ、対等な関係、継続的な関係、そしてコンサルタント冥利を得ることができる。
まずは一歩でもいい、オピニオンを考えぶつけてみよう。