コンサルタントの日々学び

日々のデリバリーで得た体験、ノウハウ、教訓とかを週次ベースで書き留めていきます。

本題に入れない話し方、それを解消する2つのテクニック

打ち合わせに際して、こんなリアクションを受けることはないだろうか。

例えば他社製品との比較表を提示して、どれを選択するか、という話をする際。
いくつかの比較軸と必須事項の情報をひっさげて、それをコンコンと話したあとに
「えーと、前はどういう方向になったんだっけ?」
「前にこういう話したんじゃなかったっけ」
「そもそもこれってどういう話だったっけ?」

話した側は「そこからかよ…」とガクッとしてしまう。本当はさっさと本題に入って結論を決めてしまいたい。
なんだけど、本題でない情報にもどってしまう。

しかしこれにはこうなる要因がある。人の記憶力・理解力に頼り切った喋り方をしているのだ。

記憶力に頼っているとは「いままでの経緯や話した内容は当然頭に入っている」という前提で話してしまうこと。説明する側はいろいろ準備をして、情報を集めたので、頭はこの議題に対してReadyの状態だ。
だが、その場に呼ばれた人としてはいろいろな業務をやったり意思決定をしている中のOneOfThemだ。参加者はいろいろな議題があり忘れている・なんのことだったかわからない、ということがよくあります。これまでの経緯や検討状況、全体としての位置付け・このあとにどうつながるか、なんて頭からすっこ抜けている。
この状態で本題から説明しても「えーと、前はどういう方向になったんだっけ?」「そもそもこれってどういう話だったっけ?」となってしまう。

もう1つ、理解力に頼っているとは、情報をよどみなく一方的に浴びせて話してしまうこと。
例えば桃太郎の話に例えよう。
それを持ち帰ってそれをひろいあげて、持ち帰りって、おじいさんとおばあさんがももを食べようと切ってみると中から元気な男の赤ちゃんが飛び出してきて、それは彼が山へしばかりに彼女が川へせんたくに行ったところ、それがそこに流れてきたもので…
極端に表現したが、プレゼンや説明の際に上記のようなことになっていることは多い。
・句読点や区切りがなく、理解がおっつかない
・情報があっちこっちにいって、片方を理解しようとしている間に片方が耳から流れてしまう
こういうことが続いてしまうと「前にこういう話したんじゃなかったっけ」「そもそもこれってどういう話だったっけ?」となってしまう。

 

ではどうすべきか。いろいろなテクニックはあるが、まず意識してほしいことは2つ。

1つは型を守ること。説明するときは、目的・背景>概要>詳細と説明する。これをとにかく守る。
目的・背景は「いままでこんな話してたでしょ」というみんなの記憶をさぐるために重要だ。このセンテンスがあるだけで、話してる間にその場の人は「あーこういう話してたよな」と記憶が蘇ってくる。
概要は、直接中身に入るより頭に情報のタグがあることで、そのあと「あぁさっき言ってたここのことか」を頭にはいってきやすい。特に情報量が多いときはこれがないと結論とのつながりがなかなかりかいしづらい。
冒頭の他社製品との比較だと、「比較表の内容はこなっていて、ここは懸念なんですけど評価は高そうで…でもA社はあんまりオススメでないんです」と情報につられ思考があっちこっちにいって理解が追いつかない。
それよりも
「比較表の内容共有します。ざっくりいうと、コストはちょっとオーバーするもののC社がいい印象です。A社は全体いいのですが必須要件満たしてません。詳細はこの表に書いているので、細かく説明していくと…」
「A社が、要求事項はだいたい満たしているんですが、最重要事項14項目は満たしていません。どこかと言うと…」
と言われたほうが「そういう結論なのね」とそのあとの情報が頭にはいってきやすい。よく本にも裏表紙などに140字くらいで概要が書いてあるがアレと同じだ。

もう1つは簡単なこと。情報の区切りごと、「自分が何について喋るか」で話を区切って一呼吸おく。
パワーポイントなら、タイトル、メインメッセージ、それを補足するボディの情報で捉えるとわかりやすい。「ここでは(タイトル)について議論させてください」「ここでは(メインメッセージ)を話したいとお思います」「そのその内容は(ボディ)のようにまとめています」「詳しくお話すると…」
焦るとついつい句読点無視してつなげて喋ってしまうが、それだと「今どこについて喋ってるの?」がその場にいる人はついていけなくなる。
冒頭の他社製品との比較でいうと
「まずA社のこちらの要求実現度を確認したいのですが、こういう結果となっており、確認したい点としてXXがXXで~、XXですかね?」
といってもついていけない。まずコレ喋って、次コレ喋って、という喋ろうとしている内容・ステップで区切る。
「まず3社あるうちのA社から話させてください」「A社の要求実現度から見ていきます」「集めた情報の結果こうなっていまうす」「ここで確認したい点は2点あります。」「1つはXXがXXで~を確認させてください」「これってXXですかね?」
これができると参加者がわかりやすいだけでなく、もう1ついいことがある。参加者が「わからない」「思っていたのと違う」など言われた際に、ファシリテーターとして捌きやすくなる。こういったわからない・違う、というときにまずすべきは「どこについてか」を明らかにすることだ。
その際に上記のように情報を区切っていると「集めた情報について言っているのか」「最後のこちらのXXですかという仮説についていっているのか」と相手に質問がしやすくなる。情報が区切られ分類されることで相違点を明らかにしやすいのだ。

 

ただ、とはいっても上記はなかなかスキルが必要で難しいだろう。
その際のオススメはTwitterだ。Twitterに読んだ本の内容を140文字でつぶやいてみよう。
140字という制約の中、主旨を語るというのは概要を語れるようになるいい訓練になる。型に慣れることにもなる。

また短い言葉で語ることになるので内容をどう区切りまとめるかという訓練にももってこいだ。

はじめはなかなか時間がかかるが、いつでもどこでも取り組めるのがいいところ。「いつも本題に入る前の話に戻ってしまう」という人はぜひ取り組んでみてほしい。