コンサル育成と「人は勝手に助かるだけ」
自分はあまり育成というものが得意ではない。
個人的には人の成長に関してはどこかのおっさんが言った「人は一人で勝手に助かるだけ」というスタンスによっている。
どんなに手を貸しても、助けてあげても、相手が成長したいと願い、その努力をしなければ実りはしない。
そんな考えなので、求められれば当然時間をとったり、過去の経験を言語化して伝えるのだが、普段からねっちりつきあってあげたり、やさしくつきっきりで手取り足取り教えたり、酒を飲みながらメンタルの悩みを解消してあげたりはあまりしない。その時間で他のデリバリーや家族との時間などやりたいことが無数にあるからという面もあるが。
とはいえ、本人が成長を願っているかははたから見てもわからないため、環境は整えておいてあげたいとは思う。
その考えの中、意識していたことは大きく5つある。
①情報は与える、考え方・背景から教える
例えば資料作成の参考はこれを見るべし、インプットはここを頼れ、などは事前に徹底的に教える。
「いいからとりあえずやれ」ではなく、「なんでこうやった方がいいのか」まで説明するようにはする。
とりあえず手を動かすやり方だとどんなムダや手戻りが発生しうるか、アイディアの決め打ちだったらどんな顧客の反応を受けるのか、さらには日報はどんな意味があるのか、資料一元管理できてないとPMなりチームがどう困るか、などなど。
やってわかるより、理解してやってみてわかる、の方が効率が高いと思うし、いまその場ではわからないにしても後でその重要性に気づいた時に自分で学びを深められるのではないかという想定のもと。
②指摘は課題を伝えるだけでなく、その解決策を考えるヒントまで
昔、自分もペーペーで問題や至らない点を指摘される側だったが、「それは確かにおかしいかも」と言われて気づいたことって、気づいてなかったくらいだから指摘されてもどう対処していいかわからない。
「調査の進め方が二次情報に偏ってないか」「メリデメだけだと妥当性が見えづらい」「施策だけでなくその考え方から説明したほうがいい」など言われれば確かにと思うが、そっからどうしたらいいかわからないことはよくある。
「例えばこんなやり方もあるでしょ」とか「施策を評価する軸としてこんなのあるでしょ、それで考えてみなよ」、「君がこんな状況だった時これだけの情報を伝えられてどう思う?何が知りたいと思う?」などヒントを与え、考える一歩までは与えることを心がけている。
時には、資料管理できていない→できるようにどう管理する?タスクを整理すればいいのか、やり方がわからないのか?など、本人が動き出せるレベルにはフォローする。
③顧客前に出る機会を作る
新人などだと調査やったり、一部の資料作ったりと、なかなか完結タスクは担えずに、切り出されたタスクを担うことが多い。
とはいえ内部向けタスクばかりだと、「自分がやった」という責任感もつきづらいし、なによりおもしろくない。
なので、調査結果を説明する、前回の議論のまとめを振り返る、などでもいいので顧客前に出る機会をなるだけつくる。
それは責任感を醸成するだけでなく、「自分がやったことが顧客の成功・成長に活かされた」「ここまではやれた」と完了体験を作り、次の一歩に踏み出しやすくする。
④3時間ごとに進捗を把握する
よくあるケースが「一人でシコシコ資料作っってました」→「蓋を開けたらイマイチなものを作ってました」→やり直し。これはジュニアや新人がよく陥りやすい。
なので、朝一、昼、夕方くらいでこちらがやってること把握できていなければ、状況なり、今の課題なりないかを聞く。これは当然デリバリーの軌道修正が主だが、話す機会を作ることでメンバーも相談しやすくなることも含まれている。
結局わからないことは聞くことがデリバリーにも成長にも求められるのだが、なかなか聞きづらかったり、特に自分は怖くて聞きづらかったりするので、機会を意図的に増やす。
⑤資料は7割できていれば残りの3割は個人の趣味と割り切る
これは自分個人の問題かもしれないが、資料の体裁なり文言など、結構細かいことにも気になってしまう。ただそれをやりすぎると、言われた側はただの作業者になり、自分がやった感もなければ、本人の考える余地もなくなってしまう。
・目的を達成できるストーリー・論点となっているか
・誤解招かない表現になっているか
が問題なければ、色使いなり、表の作り方なり、表現方法なりにそこまでこだわらないことを自分に課している。
育成が上手い人はもっといろんなやり方があるのだろうが「人は一人で勝手に育つ」環境として整えられるのはこんなものかなー。
何か他にも上手いやり方・効果的なやり方があればいいのだが。