コンサルタントの日々学び

日々のデリバリーで得た体験、ノウハウ、教訓とかを週次ベースで書き留めていきます。

オーナーシップの履き違えと事前に確認すべき3つの事項

「このプロジェクトではあなたにこの仕事を任せるね、オーナーシップ持って進めてほしい。」
そうやってタスクを任されたものの
自分でやり切ろうとして品質が満たない。
誰かに依頼をかけたがその誰かがやってくれずに期限に間に合わない。
こんなことはないだろうか?

あるメンバーに「この資料をオーナーシップもって完成させてほしい」とお願いしたことがあった。

1回目は自分でうんうん考えて、いろいろドキュメント作成したものの、相談はなく、一人で進めていた。
完成間際になって「どう?」と質問すると、「実は…」と品質として不十分なことがわかり、自身で完成には至らなかった。
努力をしていないわけではない。
何度も資料を作ったり、自分なりにお客さんの意見を咀嚼したり、試行錯誤は行っていた。
ただ、周りを巻き込み、相談したり、レビューをかけたり、または一部は荷が重いので作成を代わってもらったりはしていない。

同じメンバーに同じように資料作成をオーナーシップもって進めてほしいとお願いしたときのこと。
今度は「このタスクお願いします!」など、いろいろな人を巻き込み、依頼をかけていった。
だが、その人としては「依頼したから私にボールはない」と放置してしまっていた。
結果、依頼した人が期日を間に合わせなかったり、期日通りモノがでてきても品質に満たず作り直しになったりと、また完成に至ることはなかった。

「自分の範囲でできることはやったはず」

この考えが、そもそも「オーナーシップ」の意味を履き違えている。

オーナーシップとは何か。
それは「任された仕事の完遂に責任を持つこと」だ。
完遂させるためにあらゆる手段と努力を惜しまないことが求められる。

「意味を履き違えている」といったのには2つある。
1つは全て自分の力でやることではないということ。
自分の力だけてできないことは当然ある。それはどれだけ頑張っても期日までにカバーしきれないものもある。
その場合は必要な人を巻き込み、助力を得て、完遂するように務める。

その上で、もう1つが「巻き込んだ人のタスクも含め完遂することに責任をもつ」ことだ。
自分の手を離れたからといって責任がなくなったわけではない。
「最後までやりきる」責任は以前オーナーシップを任された本人にあるのだ。
巻き込んだ相手、依頼した相手に対して、期日・品質を担保する責任はオーナーシップを任された本人にある。
手綱はずっと持ち続け、「できましたか?」「いつまでできますか?」と確認したり、品質担保を自分だけでできないならさらに上司にレビューを持ちかけるなど働きかける。

これが「オーナーシップ」だ。
先の例だと、2回目にいろんな人を巻き込むところはよかった。
だがボールを渡したからといって手綱を離してはいけない。
依頼した先に働きかけ、モノを自分の手に収め、任された事自体を完遂するまであの手この手を弄する。

「日本的」考え・美徳からは異質と感じる部分があるかもしれない。
「日本的」だとその過程・努力をよしとする。120%頑張ったなら「よくやった!」
だが「オーナーシップ」は結果を求めている。
120%頑張っても結果まで至らなければ「オーナーシップを発揮していない」。
そこに「自分でやること」は求められていない。
誰かに依頼したり、自分のスキル・キャパオーバーならタスク依頼者に早々に返すことで「完遂」を履行するやり方だってある。
任された本人が120%頑張るよりも、30%しか自分でやれなくても任されたタスクを完遂することに重きを置いている。

このオーナーシップ、「じゃあどこまでオーナーシップを発揮すれば…」と迷うかもしれない。
そのときに1つやってほしいことがある。
それは「オーナーシップを任されたタイミングで、期限、アウトプット、目的・背景を確認する」ことだ。
この3つが「自分がやりきらないといけないこと」、オーナーシップを発揮する対象になる。
意外に何かを任されたときにこの3つがクリアなことは少ない。
それがオーナーシップの範囲をまたわかりづらくしている。

オーナーシップはこの3つの確認から始まる。そしてこの3つを完遂することに責任を持つこと。
これができるかできないかで、PMやリーダーから見ると「仕事を任せられるかどうか」が大いに変わる。
自分でやりきる仕事を任される方が当然おもしろい。
コンテンツや知識も重要だが、まずこのオーナーシップもぜひとも身につけよう。