コンサルタントの日々学び

日々のデリバリーで得た体験、ノウハウ、教訓とかを週次ベースで書き留めていきます。

議論の生産性を高める4つの準備

議論やディスカッションをうまく進める際には
①考え方
②枠
③サンプル
④引き出し
が必要となる。
 
例えば、プロジェクトのリスクについて検討する場を想定しよう。
「じゃあ検討しましょう」といきなり議論を進めては、「人がやめるかも」「プロジェクトの成果物が使われないかも」「退職者ってどれくらいでるだろう」「利用促す施策なんてある?」とバラバラでるか、シーンと静まり返るかになるだろう。
 
①の考え方というのは
「この場のリスクはプロジェクト期間中のリスクを対象にします。プロジェクト完了後は対象外です」
「プロジェクトのリスクは発生率と影響度が高いものについてのみ対策を検討します」
というようなものだ。
これがあることで何を考えないといけないかが参加者間で揃い、考える対象を絞ることができる。
先の例だと「プロジェクトの成果物が使われないかも」はプロジェクト完了後の話になる。
こういったものが混ざると本来やりたかった議論に集中できなかったり、その議論をまとめきれなかったりする。
 
②の枠というのは
「最終的に、リスク、発生度、影響度、対策有無、対策、期限、という形でまとめます」
というOutputイメージ。
①にも近いが「最終こうまとめていきます」と枠が提示されることで、議論の的をコントロールしやすい。
「退職者ってどれくらいでるだろう」みたいな発言があれば、「それは発生度のことかな」と焦点を合わせることができる。
また発言がいろんなとこに散らばったときに、「発生度や対策がバラバラ話されているけど、まずリスクをすべて出し切りません?」と調整がしやすい。
 
③サンプルというのは
「リスクはあくまで事象まで書けばいいです。例えば、電車が不通で出社できない、と台風が来て出社ができない、はどちらもなにかにより出社できないということなので理由はなくてもいいです」
という形で、具体例をだしつつどこまでやればいいのかを提示する。
これがないと些末なことの洗い出しや議論に及ぶことがある。
参加者としては
「利用を促す施策にマニュアルってあるけど、マニュアルはどんな目次にするか。挿絵は入れるか」
みたいな「別で話せばいいこと」もついつい語りたくなってしまう。
それを「今はここまででいいです」と先に制しておくことで本来議論したいことに集中できる。
 
④引き出しというのはシーンと静まり返ったり、意見はでたがどうもヌケモレがある気がする、というときに使う。
例えばリスクを考える際に、
「5M+1Eの視点で考えましょう」
PMBOKの分類ごとに考えましょう」
だと考えやすいし、ヌケモレも防止できる。
これがないと思い付きに頼ることになり、心もとない。
「3人よれば文殊の知恵」とは言うが、人がどれだけ多くても思いつかないこともある。
それをフレームワークなり事例なり、引き出しを使ってカバーする。
 
この4つを事前に準備できているかできてないかで議論の質と生産性は左右される。