コンサルタントの日々学び

日々のデリバリーで得た体験、ノウハウ、教訓とかを週次ベースで書き留めていきます。

意見が割れたら判断理由と指針で議論をリードする

改革プロジェクトを進めていると、何がを議論する際に参加者間の意見が別れることは多い。
「俺はこのシステムは統合すべきと思う」「いや違う」
「俺はこのベンダーがいいと思う」「いやそんなはずはない」
などなど、ケースは違えど意見が割れることはザラだ。
 
そのときにファシリテーターとしてどうするか?
異なる意見を言わせておいて、その背景・理由を聞いて捌くのが手っ取りばやい。
その大まかなステップは4つ。
①まずはギャップを明らかにする
②そうした理由を問う
③判断の違いを明らかにする
④判断の指針になるインプットからどちらがいいか照らし合わせる
 例)プロジェクトのゴールやCSF、ステコミの言葉・経営層のコメントとか
というような流れだ。
単純に表面上の意見(①レベル)で議論しても、先に進むことはない。
②③まで話を聞くことができても、そのあとの意思決定をどうするかで迷う人も多い。
ここで多数決なんて策を使うと、納得感も高まらないし、反感を招く可能性もある。
そんなときにプロジェクトの指針を錦の御旗として使うことで、「だってこうでしょ」と導くことができる。
 
先のシステム統合の例で見てみよう。
①このシステムは統合すべきと独立させるべきと考えている人がいるんですね。
②なぜ統合/独立させるべきと考えているんでしょう。
A「統合したほうが痒いところに手が届くし、バージョンアップした際にトータルで保証される」
B「別々の方が期間が短いし、コストも安い」
③適合性・運用重視か、コスト・スピード重視かとうことですね。
④今回、経営層の意思含めプロジェクトの目指すのは期間と予算の抑制・遵守なのでAの意見がよさそうですね。
③をちゃんと際立たせる、④でぐうの音がでない指標から導き出すのがファシリテーターとしての力量だ。
④が決めてなかったり、ケースにより適切出ない場合は「効果と実現性」などを評価の軸として使うこともある。
その際にも、効果と実現性を評価してもらい、②③を明らかにして、最終よい方を選ぶことになる。
 
 
こういうときのためにゴールやコンセプトはある。
ある事業所間統合のプロジェクトでも、コンセプトが議論をリードする指針になった。
そこでは事業所間で扱う商品は同じなのに制度・業務が大きく異なっていた。
その非効率を解消しようというプロジェクトだったが、いきなりどの業務をどう統合するかを議論しなかった。
それよりも、コンセプトをオーナー含めたプロジェクト内で議論した。
コンセプトは「フロントは地域特性を認める、でもバックオフィスは統合」というもの。
言葉にしてしまえば実にシンプルだ。
だが、実際に制度や業務を見直す際に「これはどうする」「あれは特別扱いか」という議論は無数に湧いてくる。
そこに「こういうコンセプトだったでしょ、だったらこれは?」という拠り所があると議論が極めてスムーズになる。
 
このケース以外にもプロジェクトではこの手の意思決定・判断がごまんとある。
そのときに4つのステップの型を覚えておくだけでも、随分とスムーズに議論をリードすることができるのだ。